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コンサルティング実施例

コンサルティング実施例


A社・小規模企業での、品質・環境MS同時構築(ISO 9001、ISO 14001:2015)

取引先からの依頼により、ISO 9001:2015とISO 14001:2015に基づくMS(マネジメントシステム)を構築し、認証取得することになった社員20名様程度の会社において、次のことをご提案・実施しました。訪問回数は8回、初回訪問から受審(審査を受けること)まで11ヶ月でした。

初回訪問では、規格の趣旨説明、内容解説を行い、全体方針・スケジュール決め、マニュアル(一次文書)の一部作成を行い、宿題として業務フローの作成などをお願いしました。役員の方2名がご担当のため、業務内容を含む社内事情を十二分にご存知で、かつ決定権もお持ちのため、スムーズに進み、構築は数回の訪問・期間は3~4ヶ月で行うことができました。
構築後、運用の中でマニュアルや手順書・帳票を使いやすいように改訂しました。
初回訪問から9ヶ月で第一段階審査(文書審査)、11ヶ月で第二段階審査(現地審査)となり、無事認証を取得することができました。
【守秘義務の関係で、組織を特定できないように一般化など一部を変更して記載しております】


B社での、QMS(品質)内部監査のレベルアップ研修とコンサルティング

認証取得から十年以上経つ中規模の製造業の会社において、最近鋭い指摘が無く内部監査があまり改善につながっていない、とISO事務局の方が感じておられたため、次のことをご提案・実施しました。ちなみに、内部監査の独立性を保つ等の目的で、製造現場を営業職や研究職など現場に精通していないメンバーが監査しており、今後もこの体制を続けることは決定事項でした。会社内の意識改革も兼ねて、長めの期間(5ヶ月程度)をご提案し、ご指導回数は7回でした。

まず、社内制度面では、現場に精通していない監査員からの現場実務についての質問に対して、現場担当者から丁寧に答えてもらえるように、その丁寧度を評価する仕組み等を提案しました。被監査側の現場担当者は、信頼度の高いエビデンス(監査証拠)を示すだけでなく、わかりやすく説明すると高い評価となります。例えば第二者監査(お客様による監査)を受ける場合、心証が良い方が会社にとって好ましい結果となりやすいため、被監査側はその練習にもなります。当初の提案目的は、現場に精通していない監査員のためでしたが、被監査側の第二者監査対応・第三者審査対応の訓練とすることもできました。

内部監査員の教育では、内部監査の準備段階については、チェックリストや質問文の作成などを宿題提出も併用して複数回に分けて実施しました。実施段階については、質疑のやり取りを本番に近い状態で模擬監査していただき、やり方を指導するだけでなく、場面に慣れていただくことで、本番の内部監査で疑問点などを貪欲に次々質問できるようになることを目指しました。

内部監査当日のテクニックでは、その一つとして、内部監査での質問の一つに「その作業において万一トラブルが発生した場合、どのような影響が会社に発生しますか」「生産ストップによる機会損失も含めると被害額はいくら程度になりそうですか」等の問いかけを入れてもらいました。一般に、内部監査では適合性にのみ目が向きがちですが、それでは9.2.1の内部監査の要求事項を満たさないだけでなく、改善へ繋がる発見も限られてしまいます。そこで、有効性の観点を入れるため、内部監査での質問の一つに先ほどの問いかけを入れてもらいました。
会社への影響が大きいトラブルに対しては、経営資源を投入して研究所の研究テーマにしたり、設備の入れ替えやラインを増設したりするなど、何かの対策が必要なはずです。本来であれば現場部署長が上司やトップに提起すべきことでしょうが、従来からの慣行でそのようになっていないのであれば、(適合性の観点からも)内部監査で指摘・報告することで、経営資源の投入による改善に繋がります。有効性の観点はこれだけではありませんが、まずは、資源の再配分に役立つ情報をトップなど管理層に報告することを目指しました。

一般に、品質の分野ではFMEA(故障モードと影響解析)を行っている会社もありますが、形式的に行っているだけで、想定する故障モードが少ないこともありますし、対策が現場部署でできることに限っていることもあります。これは環境影響評価や、労働安全衛生や情報セキュリティの管理策などでも同様です。想定する緊急事態に漏れが無く、影響の大きさ評価が適切で、予防や影響緩和の策や準備が常に十分な組織は存在しないと認識することが内部監査のスタート時点では必要です。 もちろんこれだけが内部監査の目的ではありませんので、その組織の状況・課題に合わせて設定する必要があります。
【守秘義務の関係で、組織を特定できないように一般化など一部を変更して記載しております】


C社での、環境マネジメントシステム(EMS)統合のコンサルティング

海外生産も行っている大手製造業の会社において、10工場・支店で別々にISO 14001の認証取得している状況を、本社も含めて1つの認証にまとめるご相談があり、次のことをご提案・実施しました。なお、海外工場や別会社からの編入組織があったことや、それぞれにEMSの歴史があり帳票を含めて異なること、製品や規模、認証機関(審査登録機関)、認証の有効期限(認証審査の実施月)がバラバラであったこともあり、期間は3年間としました。

最初の1ヶ月強で調査を行い、EMSの現状と運用の問題点整理、EMS統合に向けての課題と対応方法、今後の取組みのロードマップの提案作成を行いました。これをベースに、本社との間でポイントとなる事項のラフ案を作成し、その後各工場・支店とのすり合わせにより案を変更し、一次文書に当たる統合マニュアル案を作成・提示、各工場・支店とのすり合わせによる案の変更を行いました。二次文書に当たる規定類や帳票類は、統合した方が良いものについてのみ案を作成しました。 本社としては、今回の統合は、様式を含めた報告内容の統一や報告のタイミングの統一を図ることで、全社の状況を効率よく的確に把握できるようになるだけでなく、一部の工場では過剰に重い仕組みになっていたEMS運用の軽減を図ることが意図でした。しかし、その「過剰に重い仕組み」は、その工場・支店にとっては理由があってそのようにしているものもあります。もちろん、単に先任者から引き継いだ業務内容だから等、慣習による理由や審査員からの指摘に対する是正処置として実施し続けているものもありますので、コンサルタントとしてはそれらを紐解きながら進めていくことになりました(逆に、工場・支店の要望により本社の業務を変更することも行いました)。 幸い今回もコンサルタントが各工場・支店から信頼していただけたため、感情的な対立が発生することなく進めることができました。皆様のご協力あってのことでした。おかげさまで、コンサルティング開始後2年で統合部分が完成しました。

統合部分が完成後、各工場・支店の審査月に合わせて順次運用開始、受審(審査を受けること)へと進みます。最初の工場・支店は新規認証の扱いですが、その後に受審する工場・支店は、認証範囲の拡大扱いとなります。1年強をかけて認証範囲を全体に拡大しました。

このように、複数組織のマネジメントシステムの統合は、各組織の現状及び背景を調査し、現在の規格解釈に基づいて手順を含むプロセスの意味を紐解き、全体最適で考えるだけでなく、複数組織の信頼を得なければ進めることができません。例えば、合併した会社同士では対立が起きそうな場合など、あいだに規格の専門家としてコンサルタントが入ることで全体最適をスムーズに進めることができます。
【守秘義務の関係で、組織を特定できないように一般化など一部を変更して記載しております】